年下彼氏、困ります
その2、本性はもっと生意気
「おはようございます、永澤サン」
その声にビクッと肩が揺れる。
振り向けばにっこりと笑っている矢野くん。
「お、おはようございます」
結局昨日最後まで片付けに付き合わされた。
思い出せば今の笑顔もゾッとする。
「…なんなんだ…」
溜め息をついていると
「希依?どうしたの、溜め息なんかしちゃって」
私よりも先輩の鈴木 ひかるさんがいた。
ひかるさんはきれいで頼れてかっこいい人だ。
さすが部長の奥さん。
「新人が…大変で」
「あぁ、社長の息子ね 」
「え?」
私が聞き返すとさっきと変わらずの笑顔で私を見た。
だ、誰が社長の息子だって?
「あ、の…社長の息子って……」
恐る恐る聞くとにっこりとひかるさんは答えた。
「矢野蓮くんよ」
その瞬間、体に電流が流れたように私の体は固まった。
「いい息子さんじゃないの」
「跡取りってわけですか?!」
「えぇ」
あの矢野くんが社長……。
これから先やっていけるのか、心配になってきた。