獣耳彼氏



くそぉ。お兄ちゃんめ。逃げたな。


用事があるって分かっても、お兄ちゃんを許すことは出来ない。


今度、技をかけることには変わりない。


そうでもしないと、私の気が済まないもん。


あーあ。



「最悪」



それもこれも、全部お兄ちゃんのせい。


荷物持ちも居なくなって、自分で持つしかなくて。


パシリという名のお兄ちゃんが最近言うことを聞かなくなってきて。


そんなこんなで、私は機嫌が悪いのだ。


お兄ちゃんに対してだけね。



まあ、いつまで家に居ても出て行ったお兄ちゃんが帰ってくるわけがないし、仕方ない。


買い物行こ。


また、金髪頭が居ても嫌だし今日はいつも行くところとは別の場所にしよう。


気分転換も兼ねて。



「真琴どうするの?」


「私も出かけてくる」



京子も今日は用事があるって言ってたし、一人で行くことになるけど。


それもそれで、気分転換。


私はすでに準備してあったカバンを肩にかけると、リビングを後にした。



「遅くならないうちに帰ってくるのよー!」


「はーい。行ってきまーす」



リビングから顔を出すお母さんに手を振って、駅を目指して歩き出した。



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