獣耳彼氏
第四章
過ごす毎日は儚く終わる
「で、秋月くんとはどうなの〜?」
ある日のお昼休み。
机の上にお弁当を広げ、さあ食べようとしたところで突然に京子が切り出した。
秋月くんと帰るようになったことで、部長の告白もやみ、関わってくることもなくなった。
つまりは、教室で平和にお昼休みを過ごすことが出来るようになった。
朝も部長と鉢合わせないためにも、早い時間に家を出ていたがそれも気にしなくても大丈夫になった。
まあ、もう朝早く家を出るのが癖になっているから、それに関しては変わらないけど。
部活でも部長の存在をそんなに意識しなくなった。そんな頃。
「どうって、何が」
「付き合っているのか、いないのかよ〜」
箸で掴み上げたタコさんウィンナーが元入っていた位置へと転げ落ちた。
落ち着け、落ち着け私。
京子はからかいたいだけだ。
私の反応を見て面白がっているだけだ。
気にした方が負けというものだ。
最近は、特に言ってくることもなく、静かだった京子だけど、忘れている訳ではなかったのね。
機会を見ていたというところか。
秋月くんと一緒に帰るようになり、早三週間が経った。
秋空も段々と冬空へと足を進めている。
「その様子じゃ、まだみたいね」
「うるさいなぁ」
タコさんウィンナーを掴み直して口に投げ入れる。
もぐもぐと咀嚼を繰り返す私に京子が呆れ顔を浮かべている。