獣耳彼氏
劣等感の抱く相手
朝、ふとした拍子に目が覚めた。
枕元に置いてあった時計を見るとまだ朝の五時過ぎ。
よりにもよって休みの土曜日になんでこんな時間に目が覚めるのか疑問でしかない。
「ふう…」
大きく体を伸ばし息を吐き出す。
寝ていた体勢から体を起こしてしまったせいか、なんとなく目が覚めてしまった。
また寝転がって二度寝するのも心惹かれるものがあるけど。
微かに感じた喉の渇きが気になり寝るどころではなくなってしまう。
喉を潤すためにも下に降りることにした。
寝巻きのまま自室から出て一階を目指す。
明かりの灯っていない廊下、階段を進む。
さすがの休みの日だ。
両親ももうしばらくは起きてこないだろう。
まず、お父さんは当直だったはずだから、家にすら居ない。
あくびを噛み殺しながらリビングに行くと扉の隙間から明かりが漏れていることに気づいた。
誰かすでに起きているのだろうか。
寝ていると思ったお母さんかもしれない。
そう思いつつリビングへと入る。
「あれ?」
そこに入ると、リビングと繋がるカウンターテーブルの向こう、冷蔵庫の前に人影を発見した。