獣耳彼氏
駅まではそんなに遠くないし、のんびりと歩く。
見慣れた街並み。通り過ぎる車。
いつもの日常がそこにはある。
そんな私が住んでいる街を歩いていると10分もしない内に駅に着いた。
そして、まずは券売機を目指す。
私の通ってる学校は歩いて行ける距離だから電車とかのICカードは持っていない。
だから、電車乗るには切符が必要なんです。
切符を改札に通してホームまで行く。
道すがら、休みだからかすれ違う人が多い印象。
何とか、人にぶつからないように気をつけながら、目的のホームへと着くと足を止める。
タイミング悪く、電車は行ってしまった後で10分後に来る電車を待たなければいけなくなった。
「本当、運悪いな…」
お兄ちゃんには逃げられるし、電車は行ってしまったし。
絶対、今日の占い最下位だわ。
ついてないな…
「はぁ…」
と一つため息を吐いたとき、ふわっと背後の風が揺れた。
誰かが私の後ろを通ったのだろうけど、なぜだろう。
誰が通ったのか気になって、視界の端に映った人影が歩いて行った方へと振り返った。
「…あ」
すると、目を惹く金色がまず視界を埋め尽くした。