獣耳彼氏
いつだったか、急に夜は帰るのが遅くなると言い出した。
その理由がバスケの練習。それも毎日。
知り合いの家でバスケの練習をさせて貰っていると言っていたけど。
まさか、土曜日のこんな朝早くから行くっていうの?
「土日も練習してんだよ」
「何それ。どんだけバスケ馬鹿…」
「うるせー!」
私の言葉に悪態つくお兄ちゃん。
私にそんな口を聞いてもいいのかな。
お兄ちゃんを睨むようにニッコリと笑う。
「なんて?」
「なんでもありません」
それにしてもさ。こんな朝からとか、相手のお家の迷惑になるんじゃないの?
私には直接関係することではないけど普通に常識的に考えてだよ。
今は朝の五時。そんな時間に人が訪ねてきたら、温和な人でもキレるでしょう。
相手がなんて言っているのかは知らないけど。
ってか、家でバスケの練習が出来るってどういうことだろう。
すっごい、豪邸とか?
いやいや、こんなお兄ちゃんにお金持ちの知り合いが居るようには到底見えない。
「じゃ、じゃあ!行ってくる!」
バタバタと駆けていくお兄ちゃん。
脱兎のごとく、速いスピードに呆れる。
妹から逃げる兄とか…情けない。
玄関の閉まる音が聞こえ、本当に外に出て行ったことが分かる。
こんな時間にね。