獣耳彼氏



チビチビとお茶を飲みながら考える。


お兄ちゃんのことはもう忘れて、どうしようかな今日。


欲しいものも特に今はないし。買い物に行く必要もない。



コップを机に置き歩き出す。


カーテンを開けて、窓を開けて、雨戸を開ける。


そうすると、外の明かりが直に目を刺激する。


微かに閉じた瞳から見える外は、ほのかに明るんでいて雲もなく、今日は天気がよさそうだ。



「うーん」



朝の空気を吸い込み腕を大きく上げ伸びをする。



「そうだ。散歩でもしようかな」



こんなに天気がいいなら気持ちよさそうだ。


そうと決めたら後はそれに向かって準備するだけ。


まだ、出るには早いから部屋の片付けをしてから散歩しよう。


そうして、今日の簡単な予定を立てて部屋に戻った。



「行ってきまーす」



気づいたら昼過ぎ。


やり始めたら止まらなかった部屋の片付けにキリをつけて終わらせた。


軽くお母さんの作ってくれたお昼ご飯を食べて外に出た。


朝思った通り、とても天気がいい。


夏とは違って柔らかい日差しがさんさんと降り注ぐ。



特に目的もなくただただ歩く。


道の端に咲く花に気を止めたり、道行く人々を眺めたり、時には立ち止まり空を見上げたり。


本当に何の目的もなく歩き続ける。


大体、知っている道を歩くけど、時には冒険心を働かせて知らない道に入ってみたり。



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