獣耳彼氏
今回もそう。
少し道を逸れて、通ったことのない道を行く。
そうすれば、新鮮な気持ちになれるし、新しい発見もある。
急ぐ予定もないし、まず目的のないただの散歩なんだ。
ゆっくりと道を歩き続ける。
どこからか、微かに子ども達の楽しんでいるであろう騒ぐ声が聞こえる。
近くに公園があるのかもしれない。
道を変えてもいいけど、とりあえずは真っ直ぐ進むことにした。
方向音痴ではないけど、やっぱり帰り道が分かりやすいに越したことはない。
ひたすらに歩いているとあることに気づいた。
道の片側。ずっと長く続く塀。
いつから、その塀が始まったのかは知らないけど、気づけば前も後ろも塀が続いている。
そういえば、前お母さんが言っていた気がする。
少し行ったところに凄く広い敷地の日本家屋があるって。
もしかしたら、ここがそれなのかもしれない。
塀からも広さが分かるけど、その向こうに見える瓦屋根も長く続いているから。
広さにも限度はある。
その限度を優に越している、この家は。