獣耳彼氏
歩き続けること数分。
やはり外から見ていて思った通り敷地が広く、しばらく歩くとある場所へと案内された。
大きな平屋から少し離れた所にある、外観はどこかの道場のよう。
そこへと三人は入って行く。
ちらりと女の人がこちらを見たので、私も入れということだろうか。
「お邪魔します…」
小さく声を掛けると、三人に続いて中に入った。
そこには驚くほどに広い空間が広がっていた。
外観と内観の質量が合わないぐらいに、中はとても広い。
思わず視線を泳がせてしまう。
キョロキョロ辺りを窺う私は、まるで犯罪者のよう。
周りの目を窺うような。
「あの…中に入ってから言うのもおかしいんですけど、私が入っても良かったんですか?」
どこか、神聖な空気を感じるのはそこが綺麗にされているからなのだろうか。
それとも、何か別のものから感じ取っているのか。
自分でもよく分からない。
けど、これだけは言える。普通じゃない。
そして、落ち着かない。それだけだ。
「大丈夫よ」
女の人が振り返り言う。
いわゆる、振り返り美人というのか。
ふわりと揺れる高く結われた長い髪が優雅に宙を泳ぐ。