獣耳彼氏
どこか、日本人とは違う雰囲気を持つ目の前の彼。
やはり、おそらく地毛であろうその綺麗な金髪と。
目を惹く双眼に鼻筋の通った、整っている顔立ち。
それらが、日本人には見えなくしているのだろう。
当たり前だけど、違和感なんてどこにもない。
彼には金髪がよく似合っている。
逆に彼が金髪でなかった場合の方が違和感満載だろう。
って、そうじゃなくて…っ!
「背負い投げ女って、酷くないですか!?」
一応、敬語を使って反論する。
見た感じ私よりも年上っぽいし。
もしかしたら、お兄ちゃんよりも上かもしれない。
私が高1でお兄ちゃんは年子だから高2。
もう一人、お兄ちゃんはいるけど、そっちは8つ上。
流石に20代には見えないけど、高3くらいかもしくはその上の大学生。
そのくらい、落ち着いて見える。
落ち着いてというか、冷めているとでもいうのかな。
年上かもしれないその人に、ほぼ初対面の人にタメ口はきけません。
彼は私の言葉に一瞬、その茶色の瞳を見開く。
その後には、馬鹿にするかのように、あろうことかふっと鼻で笑った。