獣耳彼氏
秋月くんも言っていたけど、狙われているとは一体どういうこと?
私のことを言っているんだよね。
秋月くんもお兄ちゃんも。
でも、私はそれを知らない。
私の方が聞きたいくらいだ。
「わ、私には、分からな…」
「真琴。秋と関わるようになった経緯を話せばいいわ」
まるで、私がどのようにして秋月くんと出会い過ごすようになったのか。
全てを知っているかのような物言い。
実際、司さんのことだから知っているのかもしれない。
不思議な力も使えるし。
経緯と言われて、それを話すのはいいけど。
狙われているとか、一体何になのか検討もつかない。
話をする相手にお兄ちゃんが居るというのが少し気後れする点だけど。
秋月くんと出会うようになったキッカケから今までのことを全て説明した。
秋月くんとの出会い。
部長のこと。
秋月くんが半妖だと知ったとき。
たまに感じた視線。違和感。
こうやって、順に話してみると、変なことが立て続けに起きていたのだと分かる。
私の話を静かに聞いていたお兄ちゃんと司さん。
「司は知ってたのか…」
「まあ、何となくね。彼女が凌の妹だとは思わなかったけど」
だから凌にも伝えなかったのだし。
と司さんが続ける。