獣耳彼氏
「秋月くん」
彼の名前を呼ぶと彼は真っ直ぐと私を見つめてくれる。
色素の薄い茶色の瞳が私を見ている。
「私なら大丈夫なんで、守ってくれなくても大丈夫ですよ」
私も真っ直ぐ彼の瞳を捉えながら言った。
いつもは捉えられてばかりだったけど、今は私が捉えるつもりで。
「は?何、言って…」
不機嫌そうに眉間に皺を寄せる。
私の言っていることが分からないと。
そう言っている。
それに私は拳を作り言う。
「私、強いんですよ。だから大丈夫です」
最後にまた秋月くんに、そして自分に言い聞かせるように大丈夫と伝えた。
なんで、こんなにも大丈夫と連呼しているのか。
それは秋月くんに傷ついて欲しくないから。
私が何に狙われているのか分からないけど、守ると言うくらいだ。
やっぱり、危険だと思うから。
そんな危険なことに秋月くんを巻き込みたくない。
私のことを守ってくれると言った秋月くんだけど。
そんなのはいらない。
私はただ秋月くんと一緒に居たかっただけ。