獣耳彼氏
第五章
離れて痛感する痛み
「何それー!真琴はそれでいいわけー!?」
ぐわんぐわんと前後左右に体を揺らされる。
肩に手を起きて、私に詰め寄る京子の顔は本当にいいのかと、険しく歪められている。
風景が前後しているせいで上手く回らない頭を無理やり命令させ、何とか京子の手を肩から外す。
私の行動が信じられないと彼女は言う。
「もう、いいの」
私がそう言えば京子は納得できていない様子だが、静かに黙り込む。
月曜日。
朝は変わらず一人で登校し、変わらず授業を受けた。
いつも通りの日常を放課後まで続け、部活前。
京子と二人、道着へと着替える所で私は京子に話したのだ。
秋月くんにさよならしてきたことを。
詳しいこと。
私が何かに狙われていて、守るために秋月くんは私の傍に居てくれていた。
このことは彼女に心配をかけさせるだけだろうと思い、言わなかったけど。
根本的な一緒に居る理由の違いを感じたことを彼女に話した。
彼は義務感を持って私と居ることが分かった。
それに気付いたから。
そんな理由で一緒に居ても辛いだけだから。
私は離れることを選んだ。
そのことを彼女に話した結果がさっきだ。