獣耳彼氏
これは幸せな悩みと言えるのか
彼と話した日曜日の次の日。
つまりは月曜日。
1日の授業が全て終わり放課後。
私は所属している空手部に参加するべく、校内にある武道場へと来ていた。
私の通っている高校は家から歩いて約20分の距離にある。
そこは幸か不幸か空手部のある学校で、一も二もなくこの高校を希望した。
家からもっと近い場所にも高校はあるのだけど、そこには空手部がないから断念。
まず、お兄ちゃんが既に通っていたから私もそこにするとかありえない。
さすがに兄妹で高校まで同じの所にしようとは思わない。
なるべくなら、離れたい。
それが、兄妹というもの。
「あ!水嶋(ミズシマ)!」
その時、あまり聞きたいとは思わない声が聞こえてきた。
本当ならすぐに逃げ出してしまいたいと思う声の持ち主。
「嫌です」
「まだ、何も言ってない!」
「部長が言うこととなったら一つしかないので」
空手着に着替えて柔軟をしていたところでの来訪者。
後ろで背中を押してくれている京子が笑っている。
おっとりとした性格には似合わず、彼女は空手の有段者でもある。
かく言う、私もね。
京子よりも上の段を所持している。