獣耳彼氏
瞬間、三枚の札がそれぞれ一枚は小さく爆発し、一枚は淡く輝き司さんの体へと吸い込まれ、一枚は光を放ち消えた。
何が起きて何を意味するのか私には一切分からない。
とりあえずは、不思議な力を使った。そういうことだろう。
「あの…」
「さすが!俺の妹、司だな!攻撃も防御も身体強化も難なく使えるとは…!知っていたことだが、素晴らしすぎてお兄ちゃんは目眩がしてきたぜ」
テンション高めに口を開いた人物。
それは、私でも司さんでもない。
真面目そうに見えたはずの要さんだった。
うっとりと頬を緩めるその姿は何とも。形容し難い。言っては悪いけど気持ち悪い姿だ。
「五月蝿い。黙れ」
「ああ!司が冷たい!」
だが、それがいい!と要さんが叫ぶ。
瞬間、ぞわりと鳥肌が立ったのは絶対に気のせいではない。
要さんって信じたくないんだけど、まさかシスコンじゃ、ないよね?
見た目凄く真面目そうなのに。やはり人は見かけによらないというのか。
「真琴。今のをやってみて」
要さんを華麗に無視し私を見る司さん。
ナチュラルに要さんの存在をなかったものとしている。
いいのかなと疑問に思うけれど、それよりも気になることは司さんの言葉だ。