獣耳彼氏
残されたのは私の不安な心と大の字で倒れる要さん。
結局、私はどうしたらいいの?
司さんの言葉の最後になんて、めちゃくちゃ私怨が入っていた気がするし。
伸びている要さんは暫くは目を覚ましそうにない。
幸先不安ですよ。
小さくため息を吐き出した。
床に座って要さんが目を覚ますのを待つ。
どうしたらいいのだろう。
何もないこの部屋。
椅子や机、いわゆる家具と呼ばれるものは何も置かれていない。
司さんの家の道場よりは広さはないけれど、一般家庭の家と比べると十分広い。
「ハッ!」
「あ。起きた」
要さんが目を覚ましキョロキョロと辺りを見渡す。
自分の身に何が起きたのか分からないだろうかと思ったけど、どうやら違ったみたいだ。
「司、ナイス背負い投げだ。俺も気を失うほど鮮やかでそして華麗だった…」
うっとりと呟く要さんに鳥肌が一斉に立ち始める。
やっぱり、この人普通じゃない!