獣耳彼氏
私と部長とでは当たり前の体格差があるのに、負けるとかありえない。
まあ、私が強いってのもあるけど。
それでも、男の人が女の子に負けるとかね。
普通に考えてありえない。
女の子はいつまででも、守られる存在でありたいと思うのは普通のことでしょう?
逆に守りたい。そう思うことも普通のこと。
守り守られる人と一緒になりたい。私はそう思う。
だから、部長を彼氏にするなんて出来ない。
「真琴に彼氏が出来るのか、不安でしかないわ〜」
「いいの!」
私は私が本当に好きになった人じゃなきゃ嫌。
部長のことは好きではないもん。
それと、私より強い人がいいって言ったのは、ただの断るための口実でしかない。
好きな人が私より強いか弱いかなんて、本当はどっちでもいいことだもん。
強かったら強かったで嬉しいことには変わりないけど。
重要なことではない。
そんなこと、誰にも言わないけど。
そして、何の問題もなく部活は終了。
部長も部長で部活中は特に絡んでこないから、そこのところは救いだ。
気づけば外は暗くなり始めていた。
「それじゃ、各自着替えて解散。お疲れ様でした!」
部長の挨拶を最後に、10人も満たない私たち部員は更衣室へと向かった。