獣耳彼氏

「もっと、早くちゃんと伝えれば…そうすれば、何か変わっていたのかもな…」



ポツリと呟く部長に私は何も言えなかった。


それとこれとはやっぱり違う問題だと思うから。


最初の印象は中々変えられることはできない。



好きだと言ってくれて嬉しくないといえばちょっと嘘になるけど。


椎名先輩の好意は私には重すぎたみたいだ。


どっちにしろ椎名先輩とは無理だったと思う。付き合うのは。



「私は彼のことが好きなので、部長とは付き合えないですよ。今度こそ、諦めてくれると嬉しいです」



変に期待させたまま終わるのは椎名先輩にも申し訳なくなってくるから。


キッパリと断りの言葉を入れた。


こうやって、秋月くんにも真っ直ぐ伝えられればいいんだけどね。


それができないから私は…


強くならないといけないんだ。



「そう、だな…」



呟く椎名先輩。


私の答えに彼が納得してくれたかは分からないけど。


この話はここで終わりを迎えた。