獣耳彼氏
近付く足音
その後、部長とは道場で別れ私は一人帰路についていた。
一人で歩く帰り道。
寄り道もせず、家へと向かう。その道中。
考えなくてもいいような余計なことばかり考えてしまうのは、やはり一人だからか。
前までは秋月くんが校門で待ってくれていたんだよな。とか。
会話は少なかったけど、秋月くんと並んで歩いている時間が好きだったんだよな。とか。
秋月くんには夜が満月がとても似合っていたな。とか。
考えなくてもいいようなことばかり浮かんでくる。
そして、その浮かんでくることは全て秋月くんが関係しているんだ。
どこまで行っても私は秋月くんのことが好きなのだと知らしめられる。
気付けば新月。
月明かりのない夜空には数多の星が輝いている。
キラキラと輝く星たち。
いつもだったら、月ばかりに目が行ってしまいがちだけど、今日だけはとその存在を主張している。
冬の色が濃くなった今日この頃。
太陽が沈むと微かに肌寒さを感じることもある。