獣耳彼氏
『そういうこと。秋月はああ見えて。というか、見た通りだけど。面倒くさがりでさ。
興味のないことには一切興味を示さないし、必要でないと思ったことは一切やらないから。
秋月は君に興味を持ったから一緒に居ようと思ったし、椎名から守ろうとした。
基本素直じゃないからね。誤解されやすいけど、秋月はちゃんと君のことを想っているよ。
これは兄の勘。だからさ。
秋月の代わりに君が素直になってあげて。
ボクが言える立場ではないだろうけど。
秋月には幸せになって欲しいから。
そう思えるようになったのは君のお陰かな』
急いで雑木林を抜ける。
全てが全て秋夜さんの言った通りなのかは分からない。
だって、秋夜さんはずっと秋月くんと会っていなかったのだから。
会ってすぐに他人の気持ちが分かるとは思えない。
双子の兄として何か伝わる部分が本当にあるのかもしれないけど。
知りたいのなら自分で本人に聞くしか答えは分からない。
大切なのは聞いて伝えることだ。
聞かないとその人の心の内は分からないし、伝えないと私の心も相手には分からないまま。
ちゃんと秋月くんには秋月くんの想いを言って欲しいし。
私も伝えるから。
聞く心。伝える心。
どちらもすごく大切なコトなんだ。