獣耳彼氏
精一杯の気持ちを込めて
やけに雑木林が長く感じた。
草を掻き分け急いで公園へと向かう。
その時の緊張度合いといったら言葉で言い表せられないくらいの緊張で。
伝えるということは、告白するということ。
私の気持ちを伝えるイコール好きだと。
彼に告白すること。
一人、雑木林を突き進む。
丘に残れた秋夜さんと椎名先輩は一度、司さんの家へと連れて行かれることとなった。
秋夜さんは今後のことを司さんを交え秋月くんと決めるらしい。
椎名先輩は今日起きたことの記憶を全て消し、家に帰すとのこと。
その辺は龍宮の家の仕事ということで、私がすることは何もない。
任されたのは秋月くんのことだけだ。
お兄ちゃんがきっと引き止めてくれているだろう秋月くんの元へと急ぐ。
徐々に木の数が減っていき、公園内を照らす明かりが見え始めた。
合わせて、人影らしきものが明かりに照らされている。
急ぐ足が自ずと早くなる。
そして、雑木林を抜け腰の高さまである植木を避け公園へ入った。
「秋月くん!」
「真琴!やっと来たか」
秋月くんの腰部へ馬乗りになり彼の動きを止めているお兄ちゃん。
秋月くんはそこから抜け出そうと体を捻ろうとしている。