獣耳彼氏
私、さっき秋月くんに告白したよね。
勢いで全て言ってたよね。
それは、嘘でも気の所為でも、夢でもない。
全て現実の中で起きたことで、決して夢なんかじゃない。
ただ一つ、疑問に思うことがあるとすれば。
秋月くんが私のことを好きだと言ってくれたこと。
本当なのかと疑ってしまうけど、キス…もしていたから、信じてもいいんだよね?
キス以来何も言ってくれないから不安になってしまう。
家がもうすぐ見えてくる。
家に着くまでに何とか聞くことは出来るかな…確認することは出来るかな…
「…っ」
口に出そうとしてみるけど、勇気が出なくて言い出すことが出来ない。
告白した時は無我夢中で言っていたから、いざ言おうとすると中々踏ん切りがつかない。
秋月くんは秋月くんでいつもの如く何も言ってはくれないし。
自分から言い出すしか方法はないんだ。
「…秋月くん」
「ん?どうした」
いつもと違う。優しく問いかけ返してくれる彼に、本当に私のこと好きなんですか?とは言えなかった。
その受け答えの態度が答えのような気がして。
ちゃんと言葉に表してくれたらとても嬉しいけど。
これが秋月くんなんだから。