獣耳彼氏
本当に、心の整理さえ出来れば絶対に言うから。
今は心の中がぐちゃぐちゃで言えないだけで、いつか絶対に言うから。
こうやって、少しの変化にも気付いて心配してくれる友だちが居るって、本当に恵まれてる。
ありがとう、京子。いつもはふざけてる京子だけど、友だち思いだってちゃんと知ってるから。
秋月くんのことでも相談に乗って協力してくれて。本当にありがとう。
放課後になり、京子と一緒に部活へ行く。
そういえば、部長は今日来ているのかな…
昨日、別れてから彼がどうなったのか知らないし。
記憶を消して家に帰すと言っていたけど。
その消すという記憶がどの範囲で消されているのか、果たして本当に消えているのか。
司さんのことだから、言ったことはやると思うけど。
司さんの家へ行ったお兄ちゃんも朝は特に何も言ってこなかった。
「さ~て、今日もやるぞ~」
道場のドアを開けた京子の後に続いて中へと入る。
直ぐに部長の姿を探すと見つけた。
道場の片隅で他の部員と話している部長の姿を。
「失礼します~」
「失礼します」
挨拶と一礼して入るとチラリとこっちを見ただけで終わったから、きっと覚えてないんだ。昨日のことは。
覚えていたとしたら、何らかのアクションを起こすだろうし。
そっかそっか。なら、もう解決で大丈夫だよね。
秋夜さんも椎名先輩を利用することもないだろうし。
そう思ったら、安心して部活も出来るや。