獣耳彼氏



「なんで、秋夜さんが居るんですか!?しかも、転校生ってどういうこと」


「えーっとね。ボク、学校とか行ったことなかったかし、一度来てみたかったんだー」



この部屋って何するとこ?キョロキョロと興味深そうに道場内を歩き回る秋夜さん。


ふと気付く、秋夜さんの姿が人間のそれと一緒で、獣耳やしっぽが生えてないことに。


確か秋夜さんって、人間の姿になれなかったはずじゃ…



「秋夜さん、その姿…」


「あ!気付いた?秋月がね教えてくれたんだ。変化のコツを。スパルタだったけど、そのお陰でちゃんと人間の姿になれるようになってさ、学校行ってみたいじゃん?だから来ちゃったっ!…本当は別の理由もあるけど…」


「え?最後何か言いました?」


「何も言ってないよ~」



ぷぷぷと口に手を当て笑う秋夜さん。


何か企んでそうに見えるのは気の所為だよね…



それにしても、秋月くん教えてくれても良かったのに!


昨日、会った時も何も言ってなかったし。


あ、でもなんかいつもより少し機嫌が良かったような気も…したようなしなかったような。



「教えてくれたっていいのに…」


「ハハッ!秋月言ってなかったんだ」


「聞いてないです」



ムスッと答えると一段と笑い出した秋夜さん。



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