獣耳彼氏
獣耳リベンジ
明くる日。
私は思い切って言ってみたことがある。
そう、あの時のリベンジとして。
「秋月くん。獣耳触らせてください」
「ヤダ」
「えーなんでですかー!」
休みの日、秋月くんと二人で丘に来ていた。
冬の寒い時期だけど陽の光を遮るものはないし、レジャーシートを敷いて、ひざ掛けをかければ充分過ごせる。
シートの上で私の膝枕で横になる目を瞑る秋月くんに言ったんだ。
直ぐに却下されてしまったけど。
でも、ここで引き下がる私ではない。
前回は結局、全然触らせてくれなかったし。
あの、一瞬だけ感じた柔らかくてフカフカしてる感触は忘れられない。
もう一度、今度は心行くまで堪能したい。
「どうしてもダメですか?」
「ダメ」
「なんでですか?」
「なんでも」
問い掛けても直ぐに拒否の言葉でちっとも面白くない。
触りたいのに!仕方ないから膝の上にある秋月くんの髪の毛を触る。
獣耳がダメなら、とりあえず今は髪の毛で我慢しよう。
サラサラで私のくせ毛とは全然違う触り心地。これはこれでクセになりそうだ。
ずっと髪の毛を触りつつ頭を撫でたりするけど秋月くんは何も言わない。
黙って目を瞑っている。
あ、そうだ。