獣耳彼氏
第二章
こんなこと頼んでいいのか
次の日。学校にて。
窓際に位置する自分の席に座り、私は外を眺めていた。
寒い時期特有の薄い水色をした空が一面に広がる窓の外。
夏と比べると寂しさがにじみ出ている、空の色。
夜になれば、月が顔を出すこの空。
「秋月くんか…」
私は物思いに耽っていた。
まさかの一週間も経たない内に三回(正しくは二回)も会うなんて。
どうしてだろう。秋月くんという存在が私の中を埋め尽くしていた。
偶然、なのかな…それにしては、出来すぎている気がする。
数日の間に今まで会ったことのない人に会うなんて。
それが関係しているのか、何故か彼が普通ではないように感じた。
どこか人とは違う感じ。
どこが違うのかと問われたら答えることは出来ないのだけど。
直感で感じる。秋月くんが人ではないのかもしれないと。
「なぁに、アキヅキくんって」
「うわぁ!」
考えごとをしていたところに、突然視界の端から現れたその人。
思わず椅子の脚が宙を浮く。
危うく背中から床に倒れそうになる、すんでのところで体勢を戻した。
「あ、危な…京子!ビックリするでしょ!」
するっていうか、したんだけど。