獣耳彼氏



だから!諦める方法を聞いてるというのになんで部長と付き合うという結論になるの。


それじゃあ、何の解決にもならないし、今まで以上に面倒くさくなることが目に見えてるじゃん。


京子が敵なのか味方なのか分からなくなってきた。


こんなこと言ってきて。



部長と彼氏と彼女という関係になったが最後。


もう逃げることは出来なくなる。


それだけは絶対に避けたい事項の一つ。



「あ!」



京子が何か閃いたのか言葉を発した後、ニヤリと薄気味悪い笑みを浮かべた。


悪寒が背中を奔る。


えっと…嫌な予感しかしないんだけど。


それでも一応は、一応は聞いてみないとだよね。


もしかしたら、本当にいい方法なのかもしれないし。


期待は全然してないし、出来ないけど。



「京子。何かいい方法でも思いついたの?」


「ん?それは〜アキヅキくんとやらに彼氏のフリをしてもらえば、それこそ万事解決〜!ってね」



『彼氏のフリをしてもらえば〜』


『彼氏のフリをしてもらえば〜』



頭の中で京子の言葉がリピート再生される。


それこそ、何度も何度も。


何回目か再生されたところでようやく思考が戻ってきて、次の瞬間には顔に熱が溜まっていった。



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