獣耳彼氏



部長と登校時間が被らないようにお兄ちゃんが朝練に行くのと合わせて家を出る。


まだ、登校するには随分早い時間。


こうやって道を歩くのは私の他に会社へ行くのだろうサラリーマンだけ。


のんびりと学校を目指しているところで、ふと視線を感じて立ち止まる。


どこからか、感じる視線。


そこは昨日、一昨日と立ち止まった場所だった。


秋月くんに会った場所。



「…マコト」



ドキリと胸が鳴る。その声は何度か聞いたことがある声。


名前を呼ばれ、辺りを見渡す。


誰が私の名前を呼んだの…?



キョロキョロと何度も首を左右に振り、何度目かのところで彼は居た。


どこから現れたのか、私の進行方向に立っているその人。


秋月くん。



「え?あれ…?あ、秋月くん?!」



え?え?なんで?どこから、現れたの?


秋月くんが立っている場所。


そこは曲がり角や抜け道があるわけではないのに、いつの間にかそこに居た。


進行方向ってことは、私がずっと見ていた道の先。


それなのに、いつ彼が現れたのか全然分からない。


ここには彼しか居ないことから、名前を呼んだのは秋月くんってことは分かる。



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