獣耳彼氏
よかった…よかった!
これで、部長をどうにかすることが出来るかもしれない。
部長対策出来るかもしれない。
一歩進んだことで、少しずつ実感が湧いてくる。
その後は朝ということで、連絡先だけ交換してその場を離れた。
そして、今に至るという。
朝の出来事を思い返していると、やはりといってか頬が緩んでしまう。
部長対策でフリとはいえ、秋月くんと関わることが出来るようになって。
そのことが凄く嬉しい。
連絡先を交換するために交わした短いメールさえも嬉しい。
ニヤニヤと一人で笑っている私は、傍から見たら変人のようだろう。
それでも笑みを抑えきれないというのが、事実なのだから仕方がない。
「なに、真琴ニヤけてるの〜?」
「うわぁ!」
その時、突然背後から声をかけられ肩が上がる。
次いで、ガタガタッと椅子が揺れる。
それは、驚いた拍子に倒れかかった体を立て直そうとしたから。
後ろを見るとニヤニヤと嫌な笑みを浮かべた京子の姿。
なんか既視感。デジャビュ。
「なんだ、京子か。驚かせないでよ」
「気づかなかった真琴が悪いんじゃんか〜それで、私に言うことあるんじゃないの〜?」
京子が私の顔の横で囁くように言う。
ゾゾッと鳥肌が立つ。