獣耳彼氏
確かに京子の気配に気づかない私がいけなかった。
京子にこのニヤケ顔を晒してしまったら、彼女が聞いてくることは目に見えてたのに。
私としたことが失態だ。まあ、でも。
いつかは京子に知られることになるだろうし、私としては相談相手が欲しいところ。
そうだ。京子にも協力して貰おう。そうしよう。
こうなった、主な原因には京子が関係してくることだし。
お昼休み。私は京子を連れて空手部女子更衣室へと来ていた。
理由としては、教室だと人が多いし、いつ部長が来てもおかしくない。
反面、ここはまず誰も居ないし、部長が来たとしても鍵をかけてしまえば入っては来れない。
内緒話をするには持って来いの場所なのである。
そして、お母さんお手製のお弁当を膝の上に広げ訥々と話した。
秋月くんに彼氏のフリをしてもらうことになったことを。
「ちょっ!何!?え〜!いつの間にそんなことになってたの〜?」
掻い摘んで彼との出会いから話した私。
それを珍しく黙って聞いていた京子は、私が全てを話し終えると目をキラキラさせていた。
何それ、面白い!面白い!と、顔に出ている。