獣耳彼氏
「無理!」
「いいから聞いてみるの〜!はい、送信!」
いつの間にか京子の手には私の携帯が握られている。
あろうことに、画面にはメールが送信された跡。
ぱっと見たところ、文面は突拍子もない書き方ではなかったから安心したけど。
「何、人の携帯勝手に使ってるの!」
京子の手の中で弄ばれている携帯を素早く奪い返す。
我が手に戻ってきた我が携帯。
ちゃんと、間違うことなく秋月くん宛に送信されているメール。
朝、連絡先を交換した後ちゃんとメールが送れるか確認したのがアダとなった。
送信履歴に秋月くんの名前が残っていたから、京子はおそらくそれを見つけたのだろう。
京子が秋月くんに送ったメールの文面がこうだ。
『こんにちは。
早速なんですけど、部長に宣戦布告するという意味合いも兼ねて、私の部活が終わる時間に合わせて迎えに来て頂くことは出来ますか?
連絡ください。
真琴ーマコトー』
全然、全然この書いてある内容はいい。
むしろ、完璧!なんだけど…