獣耳彼氏
震える指で恐る恐るメールをタップした。
瞬間、画面が切り替わって表示されるメールの内容。
『わかった。』
一言。たった一言が書かれたメールがそこにはあった。
しかし、その一言が私にとってはとても嬉しい言葉。
秋月くんの言葉で書かれたそれが。
「分かったの一言って…」
「いいの!」
京子がありえないと呟く。
秋月くんから返信が来たってだけで嬉しいのに、分かっただなんて。
それは、彼に会えるということだ。
待っててくれると。迎えに来てくれると。
私の学校と部活の終わる時間を今度は自分でメールを送った。
メールを送るのにやっぱりといってか緊張したけど。
「よかったね」
京子が笑いかけてくれる。
自分のこと以上に考えて行動してくれる彼女。
軽い感じでやるけど、気持ちが篭っていることを知っているから私も京子の前では弱気になれる。
素直になれる。たまにね。
私が秋月くんに惹かれているってことがバレるのも時間の問題か。
もうバレている可能性も大いにある。
それでも、私も満面の笑みで頷くことが出来たのは、やはり嬉しさが勝ったからだ。