獣耳彼氏
「ブレスレット…?」
「そ!真琴に似合うと思って〜買っちゃった!」
月と星のチャームがついたゴールドのブレスレットがそこに鎮座する。
袋に入ってたのはそれだった。
その華奢な作りのブレスレットは私があまり持たないような作りのもので。
実際、女の子らしい華奢なアクセサリーは数える程度しか持っていない。
あまり好んでつけることもしないし、持っているもの全てが貰いもの。
私がつけたらすぐに壊れてしまいそうで、つけるのには勇気がいった。
だからと言ってか、つけることはしないし、当然買うこともしない。
つまり、言うまでもないが今日もアクセサリー類は何もつけていない。
「真琴にも彼氏が出来たことだし〜女の子らしいものをと思って〜」
「フリだけどね」
「でも、好きなんでしょ〜?」
「…っ!?」
いきなりの京子の爆弾発言。
な!何を言ってるの!?という、声は出なかった。
パクパクと口が開いたり閉じたり。音が出なかった。
京子の言った言葉に対して驚き過ぎて。
違う意味で心臓がバクバクしてきた。
どうして彼女がそう思うようになったのか、そればかりが頭にある。
私自身分からないことなのに、彼女はまるでそれが事実かのように言う。
「真琴見てたらすぐに分かったよ〜」
何を思ってか、私の腕を引き歩き出した京子。
詳しいことはお茶しながらゆっくりと、ね。
そう彼女の後ろ姿が言っている。