獣耳彼氏
人混みを抜けるとほっと一息ついて辺りを見渡す。
何度も探したことのある、見慣れたその姿。
騒ぎの元凶を見ようと必死になって背伸びしている彼女。
「あ!居た!京子!」
思いの外、彼女はすぐに見つかった。
この騒ぎに気づいて、近くまで来ていたみたい。
野次馬根性ってやつか。
「あ〜真琴(マコト)いた〜どこ、行ってたの〜?探したんだから〜」
「それは、こっちのセリフ。京子のせいでこっちは大変だったんだから」
「まさか〜この騒ぎ真琴のせいなの?それは、それでおもしろ〜」
はぁ…と、大きく深いため息が零れる。
何が面白いよ。こっちは面倒くさいことこの上なかったっていうのに。
なんか、ドッと疲れが現れた。もう、帰ろうかな。
こんな状態じゃ、落ち着いてウィンドウショッピングも出来ないだろうし。
「…ん?」
その時、どこからか視線を感じた。
射抜くような視線に只者じゃないと、振り返りその視線の持ち主を探した。
すると、視線を感じたその先に、目を惹く人がそこに居た。
未だ倒れてる金髪頭の向こう側にその人は居た。
目立つ髪色を持つ人。
驚いたようにその瞳を見開いている。
瞳も色素の薄い茶色。
彼の持つ全てが儚い感じに色素が薄い。