獣耳彼氏
「しばらくはフリをちゃんと続けなきゃダメだからね!」
すぐ、一緒に帰らなくなったら怪しまれるから。と、京子が言う。
確かにその意見には同意せざるを得ない。
すぐ別れたとかの噂が流れたら部長にも伝わって復活してしまうかもしれないから。
同級生には瞬く間の内に私の彼氏がハーフのイケメンだと広まっていたから。
それは、驚くほどの早さだった。
クラスの違う同級生とかにも知られていたし。
恥ずかしいと思うのと同時に誇らしくも感じた。
秋月くんの存在を認められて。
秋月くんは私の彼氏なんだと。
たとえ、それがフリだとしても。
まだ、秋月くんには悪いけど協力してもらおう。
彼も彼で続けると言っていたし。
だから、水曜日の後も一緒に帰ったのだから。
「それに、真琴は告白しないとだからね〜」
「なっ!」
ボボっと顔が熱くなる。
こ、告白だなんて…!何を言っているのよ、京子は!
そんな思いを込めて彼女を睨みつける。
が、おそらく真っ赤であろう顔で睨んでも威圧感は皆無に等しい。
もう、秋月くんのことでこんなにもからかわれるなんて思ってもみなかった。
私の気持ちもバレてるし。
そうだよ。私は秋月くんのことが好き、なんだよ。
ここまできたら、それを認めることしか出来ないじゃない。
「それじゃ、これから真琴が勇気を持てるよう、告白出来るよう買い物にレッツゴ〜!」
京子の言葉に私も覚悟を決める。
少しでも秋月くんの目に可愛く映るように。
京子と共に買い物へと繰り出した。