獣耳彼氏
第三章
その頭にあるものはなんですか
いろんなお店を見て回ること数時間。
外が暗くなるまで私と京子は買い物をした。
服を見たり、アクセサリーを見たり、メイク道具を見たりと。
飽きることなくショッピングモールを練り歩いた。
たくさん歩いて、たくさん話して、たくさん笑った。
京子の口からたまに出る、秋月くんの名前に一喜一憂して。
それでも、最後にまとめれば楽しい1日を過ごすことが出来た。
そして、夕暮れ時。
ショッピングモールで京子と別れ帰路に着く。
いくつか勢いで買ってしまった服やアクセサリーの入ったショッピングバックが歩くたびに揺れる。
心地よい秋風が髪の毛を揺らす。
風の向くまま気の向くまま。
私はゆっくりと足を動かす。
私以外、誰も居ない道を。
ショッピングモールで嫌というほど歩いたのに、なんとなく気分が良くて家までの道を少し遠回りをする。
京子と別れた時には夕焼けが空を覆っていたけれど、のんびりと歩いていると気づけば辺りは暗くなっていた。
空を見上げれば月の輝く夜空が広がっている。
ふと、左手につけたブレスレットを掲げた。