失恋同盟
あたしが中学に入学して間もない頃。
友達のいないあたしの登下校はいつも1人。
別にいじめられてたわけじゃないけど、人見知りな性格から声をかける勇気
が出ないんだ。
たしかその日もそのことで落ち込んでた。
下校時間になって下駄箱まで行き、ふと空を見上げるとかなりの土砂降りの
雨。
まるで今のあたしの気持ちを表しているかのようだった。
「どうしよ。傘忘れた……。」
そういえば、朝は寝坊してバタバタしてたから天気予報なんか見てなかった
んだった。
傘を持ってきている生徒は、次々に下校していく。
雨が止むのを待っているけれど、30分たっても一向に雨が止む気配はなかっ
た。
むしろ、ひどくなるばかり。
「…あぁ。もう最悪…。」
あたしがそう呟いた時だった。
「傘ないの?」