花咲く頃に

伊藤くんがうちの手を引っ張ってくれた。

「あ、ありがとう。」

至近距離で伊藤くんを見上げる。
だって、身長があまりにも違うから。見上げないと顔を見られない。

「ったく。まじで気を付けろよ。」

「はーい。」

気を付けてはいるんだよ!?
でも…
それでも人混みをかき分けられないんだもん。

伊藤くんと違って、身長が低いんだよ。伊藤くんを見つけられなかったから。
こんな風になっちゃったんだよ。

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