花咲く頃に
『花火綺麗だね~。』
『うん。美桜花火大好き。』
『ぼくも好きだよ。』
そっか。
うちは昔、自分のことを名前で呼んでいたんだ。
…何だろう。
この後って確か…
見ちゃ…いけない記憶…
ドンッ
『危ないっ!』
あぁ。
だから記憶から消えていたんだ。
…思い出しちゃった。
忘れたかった現実を。
『美桜ちゃん、危ないっ!』
『きゃぁぁぁ。』
うちの近くに花火が落ちてきた。
それなのに、うちは足が固まっちゃったんだ。
恐怖のあまり、腰が抜けて立ち上がれなかった。