姉さんの彼氏は吸血鬼 孝の苦労事件簿①
目を閉じたままの姉さんは、
男に抱えられるように運ばれて帰宅した。


姉さんが微動だにしなくて、
怖くなって心臓がばくばく鳴った。


でも、


「小夜子…着いたよ」





「………ぅ」





姉さんの口から小さなうめき声が漏れて、
心底安堵した。




良かった、生きてる。



姉さんは俺の姿を見付けると、
いつものように、にっと微笑んだ。




「ただいま…孝」
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