姉さんの彼氏は吸血鬼 孝の苦労事件簿①

そう呟くと、彼は紙幣を何枚か給仕に渡して、
さっさと店を後にした。

セレナは、期待を裏切られたような、
諦めたような気分になった。

しかし、その時セレナははっとした。

エリアルの残り香。

酒や煙草の匂いで、
店内は独特の空気に包まれていたが、それは間違いなく……。


自分と同じ、吸血鬼の匂いだった。

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