姉さんの彼氏は吸血鬼 孝の苦労事件簿①
いや、もしかしなくてもそうだった。
姉さんの話によると、エリアルは空が飛べるらしいから、
わざわざ門を開けて入って行く必要はないだろう。
きっと、適当な位置で下りればいい。
だけど、あいつはそれでも一旦ここまで来た。
そして、目立つ門ではなく、
その横の小さな扉を壊していったのは……。
「俺用、って事……?」
それ以外に理由が見付からなくて、
だけど結局俺はその『抜け穴』から保育園に入った。
……俺の中で少しだけ、エリアルの株が上がった。