姉さんの彼氏は吸血鬼 孝の苦労事件簿①
聞きながら、姉さんは自分のスカートをきゅっと握り締めた。

下を向いていて表情は分からなかったけど、
もしかしたら泣いているのかもしれなかった。


「あなた、小夜子っていったっけ?」

唐突に、セレナが姉さんに尋ねた。

「ええ、そうよ……」


姉さんは、平静を装って顔を上げた。

けど、やっぱり目には薄らと涙が溜まっている。


「あなた、エリアルに愛されてるのね」

「それが、何……?」

「いいわね、とっても羨ましい……」


「えっ?」



< 215 / 292 >

この作品をシェア

pagetop