姉さんの彼氏は吸血鬼 孝の苦労事件簿①
先生の車から降りた時、
まず目に入ったのは門だった。

細かい細工の入った白い格子が、
何十本もそびえ立っている。



突然その門が開いて、
修道服姿のシスターが現れた。



……布地の多い頭巾から覗く顔は、
紛れも無く外国の顔立ちだったが、
彼女はにっこりと微笑むと、



「立手花高校の方ですね?
お待ちしておりました」



流暢な日本語で、中に入るよう促して来た。

徒歩移動のクラスメイト達は、まだ到着していなかったのだが、
先生が、


「いいや入っちゃえ」




と言ったので、俺はそれに従った。

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