姉さんの彼氏は吸血鬼 孝の苦労事件簿①
シスター・セレナはそう言うと、
てきぱきとお茶の支度をした。

先生は、

「お構いなく……」

とは言っているものの、本気で止める様子が無い。
案外現金な人だ。


先生がこんな調子だったので、
俺にも特に断る理由は無く、
大人しくソファーに座った。

座った瞬間、ソファーのあまりの柔らかさに、
体が沈み込むような錯覚を覚えた。



いいな、このふかふか。



俺が松葉杖を傍らに置いて先生を見ると、
先生は出されたお茶に、遠慮無く砂糖をどばどば入れ、



(ていうか、もうそれ飽和状態なんじゃないのか?)



粉末クリームもそれだけで砂糖の役割を果たすだろう、というくらい入れた、




もはや紅茶でなく『甘くされてしまった』
液体を、ぐいぐい飲みこんでいた。


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