姉さんの彼氏は吸血鬼 孝の苦労事件簿①
鞄を下ろすと、音で気付いたのか、
姉さんがキッチンから顔を出して言った。


「お帰り孝。

早く着替えてきなさい」



エリアルの発言は気になったが、
奴に訊き返すのは何かムカつくので、頭を切り換えた。



「…ただいま。夕飯何?」


「シチューよ。
もう出来たから、エリアルも来てね」

「分かったよ、小夜子」




俺より早く姉さんに返事をしたのは、
エリアルだった。






くそ、これみよがしに、こっち向くんじゃねえよ吸血鬼…。


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