姉さんの彼氏は吸血鬼 孝の苦労事件簿①

 だが、彼女は俺の言葉に、一瞬顔を曇らせた。

「綺麗、ですか……?
私の名前なんて、無いと不便だからただ『セレナ』と付けられただけです……」

どうやら俺は、触れちゃいけないものを、
思いっきり鷲掴みにしたらしい。

でも、俺が謝るより先に、セレナさんが、

「いえ、何でもありません」

と話題を区切った。


「それより、その足どうなさったんです?」


彼女は、俺のギプスを見て尋ねた。


「ああ、これですか?……これは」
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