姉さんの彼氏は吸血鬼 孝の苦労事件簿①
結局、俺が手出しする事無く、セレナさんは破片をてきぱきと片付け、
こぼれたお茶をさっと雑巾で拭き、
先ほどと同じ合い向いに座る――と思いきや。
彼女は、俺の真隣に座った。
さっきとは何かが違う。
彼女はどこか、思いつめたような顔をしていた。
「あの……?」
俺が切り出すと、彼女は困ったように俺の目をじっと見据えた。
(近い近い!)
「大変申し上げにくいのですが…
…私、あなたの匂いの中に、奇妙な片鱗を見付けました。
ヒトの匂いとは別の、生き物の匂いを……」