姉さんの彼氏は吸血鬼 孝の苦労事件簿①
エリアルは、きゅっと姉さんの肩を抱いた。やめろおおっ!
「こらーっ、姉さんに触るな!」
だが、姉さんが目を擦って俺を見ていないのをいいことに、
エリアルは邪魔されるもんかとばかりに、
起き上がりかけた俺の脚を引っかけて、
もう一度転ばせた。こいつぅーっ!
「大丈夫だよ、大丈夫……。
全部、僕が何とかするから……」
その時、お守り袋からもう一枚の紙がはみ出していた事と、
そこにはセレナさんの居場所が書かれていた事を、
俺はまだ知らなかった。