姉さんの彼氏は吸血鬼 孝の苦労事件簿①
「お久し振り。
三十年振りくらいかしら?」
彼女の姿は見えなかったが、
気配だけは気持ちが悪いほどよく分かった。
「黙れ。僕は、お前になんか会いたくなかった」
エリアルは、憎々しげに吐き捨てた。
「つれないじゃない。
せっかく、ここまで探しに来たっていうのに」
一方、女はそれすら楽しむように挑発的に言った。
「だけど、あなたがこうして来たって事は、
もちろんそれなりの覚悟があっての……」
「黙れ」